▲2011年末に更新改造後の1201F 側面の社紋も他車並みに設置された(2012.03.10 長谷)
1983年、1201+1251の1編成が製造された。代替廃車は603+604。1000形グループの3次車であり、江ノ電最後の新製吊掛駆動車となった。

足廻りは不変だが冷房は当初より装備しており、新製冷房車としては江ノ電初である。車体も前照灯が角形になり、銀縁のカバーが付いてイメージが変わった。このデザインは1500形でも踏襲されている。他は基本的に1100形に準ずるスタイルで、原色当時の側面「江ノ電」ロゴプレートや車号の位置・仕様も1000・1100形に準ずる。

外見からはわからないが屋根と床は塩害を意識してステンレス化され、前面窓には遮光用フィルムが初めて貼付された(遮光フィルムは後に他車にも波及)。換気装置に横流ファン(ラインデリア)が採用されたのも1200形が最初である。座席袖仕切部には縦方向の掴み棒が追加され、当初は座席が赤とオレンジの交互配色となっていた(のち赤色に統一)。

また本編成に限って前面オデコの張り上げ部が広く、列車無線アンテナはこの部分に付くため台座が車体色となっていた(他編成は屋根側に付くため屋根と同色)が、2011年の車体更新時に他車とほぼ同寸に改造された。

この車輌の登場によって全列車の重連(4連)運転が可能になったという点でも意義のある車輌である(これは運用上可能になったという意味であって、当時はまだ連結車があったほか、旧型車+新型車の重連も不可であった)。翌1984年の正月輸送では、旧型連接車8本、新型連接車4本をすべて重連に組成し、初めて全6運用の重連運行を行なった。

登場後の変化は他編成に準じ、以下のようなところ。

1980年代後半
・1985年ごろ? 電連を廃止、1500形同様の上吊り式密自連+ジャンパー栓装備に変更
・1989年、列車無線アンテナ取付

1990年代
・方向幕交換(緑地白文字→黒地白文字)
・1992年、クリーム地にイラストの入った明治製菓の広告車(「明治製菓号」)となる
・1993年ごろ、連結器の密連+電連化・前面裾の切り欠きの埋め込み
・1995年、広告デザイン変更(地色は白となる)
・1998年、広告デザイン変更(白地のまま)
2000年〜
・冷房電源装置をカマボコ型に更新
・円筒形避雷器取付
・2004年、明治製菓広告車を1502Fに引き継ぎ、標準色に戻される
・2004年? シートのモケットを赤色から緑色+濃緑のストライプに変更
・2006年、1001Fが「S・K・I・P号」となってからは1000系列最後の標準色車となる
・2007年夏、漫画「ワンピース」のラッピングカー「麦わら号」として運行(窓ガラスにも絵柄を貼付)
・2007年9月、N500形塗色化(1000系列から標準色が消滅)。なお2011年までは本編成のみ側面社紋プレートが未設置であった
・2010年 優先席を紫色モケット+オレンジ吊革に変更
・2011年12月、車体更新を施工。従来の更新に新メニューを追加し、1000系列中でも特に手の込んだ内容となった。更新に際する変更点は以下の通り。
 
●既存のメニュー
 ○1251に車椅子スペース新設、当該部側窓を固定化
 ○ベンチレーター撤去
 ○ドア窓の引き込み防止改造(金属枠化。江ノ電からHゴム窓のドアが消滅)
 ○本編成のみ未取付だった側面社紋プレートの取付
 ○SIVを新型(RG4032-A-M)に交換
 
●今回の新規メニュー・本編成独自の改造点
 ○車内客扉上に旅客案内用LCDを新設(新500形同様の2基設置)。対応してか連接部屋上に引き通し線を追加、
 乗務員室内に画像切替装置を設置
 ○座席前面に縦ポール新設(優先席部は黄色)
 ○ドア内側(戸当りゴム脇)に黄色テープ貼付、足元の滑り止めも黄色に
 ○前面窓にロール式の遮光カーテン取付(従来の遮光フィルムは窓上部を残し撤去)
 ○連接部妻面に転落防止外幌の台座を取付。2012年3月初旬ごろにに外幌も追加
 ○雨樋を乗務員扉前部まで延長(他編成と合わせた寸法に)、アンテナは仕切より後ろ側となる

2011年の車体更新時には、従来の更新では車椅子スペースの設置が目立つ程度だった車内の改装が強化され、より明確にバリアフリー対応、旅客サービス向上が図られている。他車への波及は今のところ不明だが、新たな雛形として1500形の同メニューでの更新や1000・1100形への追加施工も充分考えられよう。なおクーラーに関しては、更新の際にも換装は行なわれていない。

編成

藤沢 鎌倉
1201F 1201 1251

各種データ(特記なき限り編成全体の数値)

製造所 東急車輛
制御方式 抵抗制御
駆動方式 吊掛式
主電動機 50kw×4
歯車比 5.27
ブレーキ方式 電気指令式(HRD-1)
車体構造 全鋼製(普通鋼、一部ステンレス)
最大寸法
(長×幅×高)
25,400×2,450×3,900mm
自重 39.3t
定員(座席) 150人(69人)
※車椅子スペース設置前160人(72人)
製造年 昭和58年
在籍数 1編成

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 ディテール
2010.06.26 2010.06.27 2010.06.27 2012.03.10 2012.03.10 2012.03.10 2012.03.10
2012.03.10 2012.03.10 2012.03.10 2012.03.10
 いままで
2002.07.14 2006.03.12 2006.07.01 2009.07.25 2010.05.05 2011.09.24

Nゲージ模型製品
MODEMO(ハセガワ←長谷川製作所)
江ノ島電鉄 1200形 "明治製菓号"(2003年)  プラ製完成品10,290円
当時運行中だった白色ベースの明治製菓広告車(3代目の絵柄)をモデル化したもので、1000形標準色に続いていち早く発売された。1000形の床下機器をSIVとし、ライトを角型としただけで1200形に化かしているため細部形態には異なる点がある。角型ライトは1000形と同じ車体のライト部の凹みにライトケースごとはめ込んで表現。冷房制御装置は更新後のカマボコ型。今のところ1200形と銘打たれた製品はこれだけである。

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