▲2012年4月現在の1501F 側扉引き込み防止改造済で、乗務員扉後位には開業110周年記念ステッカーを貼付
(2012.04.07 七里ヶ浜〜稲村ヶ崎)
1986〜1987年に2編成が製造された1000系列の最終増備車。1501Fの新製時には800形801+802が廃車されたが、1502Fは代替廃車のない純増備である。

江ノ電初のカルダン駆動を採用した点が最大の特徴で、制御装置も1000〜1200形のES-778A-MからES-789A-Mに変更し弱め界磁付きに。ブレーキは発電制動を付加したHRD-1Dとなり、連接台車にはディスクブレーキを採用するなど各部に他編成の運用実績を反映した改良点が見られる。台車はカルダン駆動のため固定軸距が1,650mmに伸び、端台車側面にブレーキシリンダーが露出したTS-829(端台車)・TS-830(連接台車)となった。制輪子は1000形のオールレジンからレジン・鋳鉄併用に変更されている。

連結器は1200形までは下支持式密自連+電気連結器だったが、1500形では上吊り式密自連+ジャンパー栓装備となった(当時の旧型車に近づいたが、制御装置やブレーキが未統一のため併結は不可。ジャンパー栓の取付位置も旧型車の海側に対し山側だった)。1000系列他編成も、本車の登場前に同仕様へ改造されたものと思われる。

登場時は連結器両脇に箱型の水タンクを装備していた。連接部の高圧引き通し線は1200形までは山側窓下に渡されていたが、1500形では屋根上に変更された。

車体形状は1200形に準ずるが、屋根・床に加えて腰板・窓柱にもステンレスが用いられているほか、客扉窓が金属支持となり、枠がなくなったため印象が変わった。前頭部の張り上げ部は1000形に準じた広さに戻ったが、雨樋の造作は1200形に準じている。

登場時にはアイボリー地に赤・オレンジのストライプを配した専用塗装(公募により1501Fは「サンライン号」、1502Fは「サンラインU」の愛称を付与)で、この塗り分けに応じて側面の「江ノ電」ロゴが乗務員扉上に配され、車番も低い位置に付けられた。いずれも今までの銀文字ではなく、当初は車体と同じアイボリー地にオレンジ文字、標準色化後は薄緑地に濃緑文字、のち濃緑地に薄緑文字とされた。20形塗色・N500形塗色では車体と同じ濃緑地にクリーム文字に変化している。方向幕は黒地白文字とされ、緑地だった1000〜1200形にも波及している。なおエンド標記は当初磨き出しの銀色だった(のちのサンラインカラー復元ではオレンジとされている)。

車内もシートモケットが車体と同じストライプ入りとされ、扉の内側がエッチング仕上げとされる(2編成でパターンが異なる)など特徴的な装いとなった。

登場後には以下のような変化を経ている。

1990年ごろ
・全面広告車化の後、外板塗色を1000系列標準色(緑濃淡)に変更
・1989年、列車無線アンテナ取付
1990年代
・1993年ごろ、連結器の密連+電連化・前面裾の切り欠きの埋め込み(1502Fは全体、1501Fは左右端部のみ)
・側面車番を移設(扉間連接部寄り→乗務員扉直後。1501F)
・1998年、一般公募による「江ノ電デザインコンテスト」が行われ、優秀デザイン2点が1501Fに施される
2000年〜
・2000年ごろ? 1502Fの車番が濃緑地+薄緑文字に変更
・2001年ごろ、1502Fの側面車番を移設(1501Fと同様に。これで1000系列の側面車番位置がすべて統一される)
・2002年ごろ? 冷房制御装置更新
・2003年ごろ? 円筒形の避雷器取付
・2003年ごろ? シートのモケットを緑色+濃緑ストライプに変更
・2004年、1502Fが1201Fに代わって明治製菓広告車となる
・2005年、1501Fが1002Fに続いて20形塗色となる。同時に同編成のみ存置されていた前面裾の切り欠きが埋められる
・2007年、1501Fが1001Fに代わって2代目「S・K・I・P号」となる
・同年、1502FがN500形塗色に変更。1000系列からプレート式の「江ノ電」ロゴが消滅
・2009年春、海側の側面方向幕を英字併記のものに交換(1502F→1501Fの順)
・2009年6月、1501Fが登場時の「サンラインカラー」に復元される(側面の社紋はアイボリー地+オレンジとなり、車番は塗り潰し。数日間の側面車号なしでの運行を経て登場時の位置にステッカーで追加)
・2009年10月、嵐電との姉妹提携を記念し、1502Fが嵐電塗色を纏った「嵐電号」となる
・2010年、優先席を紫色モケット+オレンジ吊革に変更
・2011年9月? 1502Fの客扉窓が引き込み防止改造(銀色枠の露出する形態に)
・2012年2月 1501Fの客扉窓が引き込み防止改造(1000系列の扉窓改造が完了)
・2012年6月 1502Fが「嵐電号」のまま検査出場。前面廻りの塗り分けが変更される

2編成とも、1000・1100形のような大規模更新工事は実施されていない。

編成

藤沢 鎌倉
1501F 1501 1551
1502F 1502 1552

各種データ(特記なき限り編成全体の数値)

製造所 東急車輛
制御方式 抵抗制御(弱め界磁付)
駆動方式 中空軸平行カルダン式
主電動機 50kw×4
歯車比 6.31
ブレーキ方式 電気指令式(HRD-1D)発電ブレーキ付
車体構造 全鋼製(普通鋼、一部ステンレス)
最大寸法
(長×幅×高)
25,400×2,450×3,900mm
自重 41.8t
定員(座席) 160人(72人)
製造年 昭和61・62年
在籍数 2編成

備考的写真 クリックで拡大

 ディテール
1999.06.12 2010.06.26 2010.06.27 2012.04.07 2009.06.27 2008.12.07 2009.08.08
 1501Fのいままで
1986.07 1986 1998.08.23 1998 1999.01 1999.08.08 2002.11.30
2003 2006.10.04 2005.11.15 2008.08.23 2009.06.27 2011.09.19
 1502Fのいままで
1998.08.23 1999.10.09 2001.04 2002.07.06 2006.06.17 2009.09.26 2010.12.26
2012.02.28 2012.06.24

Nゲージ模型製品
GREENMAX
江ノ電1000形(1987年)  プラ製キット6,000円/塗装済キット9,450円
当時同社が展開中だった「バリエーションキット」の第4弾として登場したもので、地方私鉄モノの製品化自体が希少だった当時、話題性もあり広く普及した。動力入りのトータルキットで、TOMIX製箱根登山1000用動力流用のため窓1個分車体を延長、ボギー車2連の格好となっているのが特徴で、連接化は「経験者向き」としてヒントのみ示されている。プロトタイプは当時最新の1500形といえるが、適宜削除することで各形式に対応するためかドア窓にはHゴム表現がある。連結車のため妻面ディテールが犠牲にならないほか、連結器は実車通りの上吊り式密自連+ジャンパ栓が表現され、これは他社を含めNでは唯一と思われる。600形タイプ車体(600形頁参照)、デカールが付属。デカールは車番のほかサンライン号・1000形標準色の帯、当時のポカリスエット広告車(1002F)の柄、駅名票や沿線の看板まで含んだ豪華なものである。2000年には塗装済キットへ移行、新たにステッカーが追加された。
MODEMO(ハセガワ←長谷川製作所)
江ノ島電鉄1500形"サンライン号"(2003年) プラ製完成品 M車10,290円/T車5,880円
1200形に続いて発売された。時代設定は1986・87年登場時で、角張った旧型の冷房制御装置はここで初製作となった。TS-829、TS-830形台車、床下機器、屋上の高圧引き通し線繋ぎ箱も新規部品。車体は基本的に1000・1200形からの流用だが前面の切り欠きは表現されている(ただし1501F密連化後の幅とされており、登場時の姿としては若干狭い)。密自連仕様だが、胴受は模型としての機構上、下支持式となる。車番はインレタ。ステッカーには各編成登場時のヘッドマークが収録される。
江ノ島電鉄 1500形 "SEA BREEZE号"(2004年)  プラ製完成品10,290円(M車のみ)
2003年の広告塗装をプロトタイプとした製品。塗色以外では連結器を密連とし、冷房制御装置をカマボコ型とした点が「サンライン号」との差異。前面切り欠き幅は本製品では実車通りとなる。M車のみ。
江ノ島電鉄 1500形 "標準塗装"(2004年)  プラ製完成品 M車10,290円/T車5,880円
当時の実車に合わせた標準色のモデル。塗色以外は上記「SEA BREEZE号」製品とほぼ変わらないが、前面切り欠きは板厚を薄くして切削用のガイドとするに留め、インレタ式の車番と合わせてユーザー側で好みの編成を再現できるようになっている。車番は地色の異なる2種とも収録。冷房制御装置はいずれも更新後のカマボコ型。
江ノ島電鉄 1500形 "明治製菓号2004"(2005年)  プラ製完成品10,290円(M車のみ)
2004年から2007年までの広告塗装仕様。純然たるカラーバリエーションで、形態上は標準色製品と変わらない。M車のみ。
江ノ島電鉄 1500形 "S・K・I・P号U"(2008年)  プラ製完成品10,290円(M車のみ)
2007年以降のラッピングカーを再現した製品。こちらも色変えモデルで、車体は切り欠きの埋め込み後のため1502Fと共通となる。避雷器は実車では円筒型となった後だが、製品は旧型のままで変化ない。M車のみ。
江ノ島電鉄 1500形 "500形塗装"(2010年)  プラ製完成品10,710円(M車のみ)
新500形T車と同時発売。同車に揃えた塗装となった1502Fを再現したもので、これまでの特別塗装車と同様の色変えモデル。車番は1502・1552が印刷済だが、文字色が白なのが惜しい(実車はクリーム色)。
江ノ島電鉄 1500形 "サンライン号2009"(2010年)  プラ製完成品10,710円(M車のみ)
前年に復元塗色となった1501Fをモデル化。登場時仕様とは前面裾形状、交換された冷房電源装置を作り分け、連結器も密連がデフォルト。1501・1551の車番のほかエンド標記なども印刷済で、復活後のオレンジ文字仕様とされている。車体色自体も登場時仕様と比べると濃い色調である。復元時に掲出していたヘッドマークのステッカー付。
江ノ島電鉄 1500形 "嵐電号"(2010年)  プラ製完成品10,710円(M車のみ)
姉妹協定締結を記念して嵐電カラーとなった1502F。こちらもサンラインと同じく色変え品で、1502・1552の車番が印刷済。ヘッドマークステッカーが付属する。
その他
バンダイ「Bトレインショーティー」シリーズにて、「サンライン号」塗色のショーティモデルが発売されている。ドア窓は枠の露出しない金属支持タイプで、今のところ成型品の状態でこの形状を表現した製品はこれだけと思われる。同シリーズの1000形標準色製品も、1500形として組むことが可能である。

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